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利用技術

今までの説明より明らかなように,発熱体と温度ヒューズを熱的結合することにより,機器の保護すべき所定の温度で温度ヒューズを溶断させ,回路を遮断することができる。

図4はトランスやモータなどのコイル表面に,絶縁フィルムを介して直接接触させ,トランスの2次側ショートやモータのロックなどで生じる熱をダイレクトに感知させる使い方の例を示したものである。
通常は温度ヒューズが動作することによりメインの電源が遮断される回路構成が望ましい。

図5はスイッチング電源の突入防止抵抗の過熱保護に使用した例である。通常作動時,抵抗はサイリスタにより短絡されているが,回路の異常によりサイリスタが不導通になると,抵抗が異常発熱する。この熱を感知し,回路を遮断しようというもので,抵抗に温度ヒューズをだき合わせたり,予めセメント抵抗に温度ヒューズを内蔵,一体化した製品が用いられる。(写真2)

図4 トランスの過熱保護

図5 スイッチング電源の突入防止用抵抗保護

写真2
例 ヒューズ抵抗器 A5MC

使用するに当たって注意すべき事項

温度ヒューズの感温性能を十分に発揮するために,温度ヒューズのリード線をできるだけ長く使用する。トランス,モータ等のコイル機器に使用する場合は,出来るかぎりコイルの発熱を直接感知できる熱伝導のよい場所に取り付ける。また,温度ヒューズの両リード線とボディが均一に加熱されるよう取り付ける。

  • 最終製品を設計する際,激しい振動にさらされる場所や振動が継続する場所に取り付けない。
  • 機器の異常発熱により,温度ヒューズが動作した後,発熱部のオーバーシュートによって温度ヒューズ個々に規定された上限温度を超えないように最終製品を設計する。
  • 異常発熱によってのみ温度ヒューズが動作する場所に取り付ける。
  • 温度ヒューズは信頼性の高い部品であるが,一本の温度ヒューズで対応出来る異常状態には限界がある。また何らかの原因により温度ヒューズが損傷した場合,異常時に温度ヒューズが回路を遮断しない事態を生じる可能性がある。回路が遮断されないことにより,人身事故や物損に至る可能性がある場合には,異なる温度定格の温度ヒューズを一本以上追加使用することが有効である。