Solder Products

はんだ製品

用語集(はんだ製品)

  • JIS Z 3197
    [ JIS Z 3197 ]

    はんだ付用フラックス試験方法の日本工業規格。
    フラックス区分・構成材料,試料の採り方,並びに,水溶液比抵抗試験,フラックス含有量試験,固形分含有量試験,活性剤含有量試験,比重試験,フラックス効力試験,銅板腐食試験,銅鏡腐食試験,絶縁抵抗試験及びマイグレーション試験などの試験方法が規定されている。

  • JIS Z 3282
    [ JIS Z 3282 ]

    はんだの成分・形状を規定した日本工業規格。
    はんだの鉛フリー化などに対応するため2006年に改正された。この改正で,E,A及びBという等級が廃止され,不純物として,Au,In及びNiが追加された。鉛フリーはんだには多成分系が多く,従来通りの表示では長くなりすぎるため,記号2として,AgをA,BiをB,CuをC,InをN,SbをS,ZnをZで表示,その後ろに含有量の10倍値を表示し,Snを省略することが規定されている。

  • JIS Z 3283
    [ JIS Z 3283 ]

    やに入りはんだの日本工業規格。
    JIS Z 3282の改正にともない,それに整合させるなどの目的のため,2006年に改正された。この改正で,鉛フリーはんだが広がりにくいことを考慮し,鉛含有はんだと鉛フリーはんだとで広がり率の要求値が区別された。
    また,ぬれ性低下や自動はんだ付に対応するために,市場からさまざまなフラックス含有量の要求があることから,フラックス含有量が1%刻みで設定され,製品の呼び方にF1‐F6(たとえば,F3のフラックス含有量は,2.5%以上3.5%未満)が追加された。

  • JIS Z 3284
    [ JIS Z 3284 ]

    ソルダペーストの日本工業規格。
    はんだ粉末の形状・サイズ,フラックスの活性度及び信頼性の違いによる品質分類などが規定されている。
    また,附属書に,流動特性,加熱時のだれ,粘着性及びソルダボールなどの試験方法が規定されている。
    1994年の制定以来改正されておらす,近い将来改正される可能性がある。

  • JIS Z 3910
    [ JIS Z 3910 ]

    JIS Z 3282に規定されているはんだの定量方法を定めた日本工業規格。
    JIS Z 3282の改正にともない,それに整合させるなどの目的のため,2008年に改正された。この改正で,原子吸光法に加え,機器分析に,波長分散方式蛍光X線法(WDX),ICP発光分光法及びスパーク放電発光分光法が取り入れられた。
    また,Au, In及びNiの分析方法が追加された。

  • 完全ハロゲンフリー
    [ かんぜんはろげんふりー ]

    周期表の17族である F,Cl,Br,I(及びAt)をハロゲンという。
    ハロゲンは反応性が高く,フラックス中の活性剤や樹脂の難燃剤などに用いられる。
    しかし,ハロゲンを含む材料を加熱分解させると,ダイオキシンなどの有害な物質が発生するともいわれており,電気・電子業界では環境保護の観点からハロゲンフリー化が進んでいる。IEC 61249-2-21やJPCA ES01などにプリント配線板のハロゲンフリーの定義が, JEITA ET-7304にハロゲンフリーはんだ材料の定義があるが,いずれの場合も,ある程度のハロゲンの添加や,規定外のハロゲンの添加は認められてしまうことになるため,はんだメーカとしては,“すべてのハロゲンの意図的な添加を行っていない”という意味で,“完全ハロゲンフリー”ということがある。現時点では,“完全ハロゲンフリー”は,規格として定められた用語ではない。

  • 乾燥度試験
    [ かんそうどしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    はんだ付後の仕上がり及び異物付着による信頼性低下に影響するフラックス残さの粘着性を評価する試験。銅板に試料をのせ,はんだの液相線温度+50℃のソルダバス上で5秒間はんだを溶融させ,30分間常温放置し,粉末タルクを振りかけ,軟毛ブラシで2回払い落し,容易に除去できれば“粘着性なし”とする。

  • 水溶液比抵抗試験
    [ すいようえきひていこうしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    腐食性や絶縁性などの信頼性に影響するフラックス中のイオン性物質の量を調べるため,抽出液の比抵抗を測定する試験。清浄なビーカに規定量の精製水と試料(フラックス)とを入れ,60秒間沸騰させた後,冷却し,導電率計で比抵抗(導電率の逆数)を測定する。
    単位には,Ω・mなどが用いられ,イオン性物質が多いほど水溶液比抵抗は,低くなる。

  • 絶縁抵抗試験
    [ ぜつえんていこうしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    フラックス残さの信頼性を調べるため,高温高湿下での絶縁抵抗を測定する試験。試験基板(導体幅・間隔0.318mm,重ね代15.75mmのくし形電極基板)をはんだ付し,恒温恒湿槽(38-42℃・90-95%RH 又は83-87℃・85-90%RH)に入れ,恒温恒湿槽に入れたままで,24,96及び168時間後にDC100Vで絶縁抵抗を測定する。

  • チクソ指数
    [ ちくそしすう ]

    正式には,チクソトロピー指数という。
    水などの流体では,ずり速度やずり時間を変えても粘度が一定(“ずり応力”/“ずり速度”が一定)であるが,ソルダペーストなどの流体は,“ずり速度”が増すほど,また,“ずり時間”が長くなるほど粘度が低くなる“チクソ性”という性質をもつ。前者を“ずり速度依存性”,後者を“ずり時間依存性”というが,前者の“ずり速度依存性”の度合を示す指数をチクソ指数という。
    ソルダペーストの測定方法は,JIS Z 3284の附属書6に流動特性試験として規定されており,一般に,スパイラル方式粘度計にて測定され,“粘度の対数”と“ずり速度の対数”との関係の傾きから求められる。“チクソ性”は,ソルダペーストを必要なパターンに供給し,その形状を保持するために必要な性質である。

  • 電圧印加耐湿性試験ーマイグレーション試験
    [ でんあついんかたいしつせいしけんーまいぐれーしょんしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    フラックス残さの信頼性を調べるため,高温高湿下でのエレクトロケミカルマイグレーション(イオンマイグレーション)の有無を調べる試験。絶縁抵抗試験と同様に,試験基板をはんだ付し,恒温恒湿槽へ入れ,電極間にDC45-50Vを連続印加。1000時間後に基板を取出し,拡大鏡観察によりデンドライト(樹枝状金属生成物)が認められれば,マイグレーション発生とみなす。

  • 銅鏡腐食試験
    [ どうきょうふしょくしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    加熱されていないフラックスの腐食性を調べるため,ガラス表面に真空蒸着した銅の浸食程度を観察する試験。銅を真空蒸着したスライドガラス(500nmの光を10%透過)に試料溶液と標準ロジン溶液(25%ロジン-IPA溶液)とを滴下し,23-27℃・45-55%RHの恒温恒湿槽中で24時間エージングし,銅の浸食程度を標準ロジン溶液と比較する。

  • 銅板腐食試験
    [ どうばんふしょくしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    フラックス残さの腐食性を調べるため,高温高湿下での銅板上のフラックス残さ変色及び/又は腐食生成物発生を観察する試験。エッチングした銅板に試料をのせ,はんだを加熱溶融させ,40℃・90-95%RHの恒温恒湿槽中で96時間エージングし,比較試験片(常温常湿放置片)又はエージング前の写真と比較し,著しい変化がなければ合格とする。

  • 粘度
    [ ねんど ]

    ソルダペーストなどの流体の“ねばりけ”(ある“ずり速度”で動かすのに必要な“ずり応力”)の度合を表す。
    単位はPa・s(パスカル・秒)などが用いられ,数値が大きいほど“ねばりけ”が大きい。
    ソルダペーストの測定方法は,JIS Z 3284の附属書6に流動特性試験として規定されており,一般に,スパイラル方式粘度計にて測定される。

  • ハライド系活性剤含有量試験/電位差滴定法
    [ はらいどけいかっせいざいがんゆうりょうしけん/でんいさてきていほう ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    はんだ付性及び信頼性に影響するフラックス中のイオン性のハロゲン含有量をCl換算で定量する試験。ビーカに試料をはかりとり,IPAを加え,電極を入れ,硝酸銀溶液で滴定し,電位が大きく変化する点(変曲点)を終点とし,ハライド含有量を算出する。
    F及び非イオン性のハロゲンは,測定できない。

  • 比重試験
    [ ひじゅうしけん ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    液状フラックスの固形分含有量と相関性(一般に,ほぼ直線関係)があり,品質及び作業性に影響する比重を測定する。フラックスに比重計(JIS B 7525では“密度浮ひょう”)を浮かべ,20±1℃としたときの目盛を読む。長時間発泡塗布したフラックスでは,水分混入により,比重と固形分含有量との関係にずれが生じる可能性があるので注意を必要とする。
    なお,密度にはg/cm3などの単位があるが,比重は,“その物質の密度/4℃1気圧における純水の密度”なので,単位は,ない。

  • フラックス効力試験/はんだ広がり法
    [ ふらっくすこうりょくしけん/はんだひろがりほう ]

    試験方法は,JIS Z 3197に規定。
    フラックス,やに入りはんだ及びソルダペーストのはんだ付性を調べるため,酸化銅板上ではんだの広がり性を評価する試験。酸化処理した銅板に試料をのせ,はんだの液相線温度+50℃のソルダバス上で30秒間はんだを溶融させたときのはんだの高さHと,供給したはんだを球とみなした時の直径Dとから,広がり率S (%)をS =(D ?H )/D ×100より算出する。通常,広がり率が100%に近いほど,はんだ付性が良いことを示す。
    なお,酸化銅板上に全くはんだ付されない場合でも,重力の影響で,広がり率は,0%とはならない。